どうしてこうなったのだろう、とジョージは頭をフル回転させた。首に絡まる手や肩に埋まった顔、それから首筋に感じる吐息。グリフィンドール塔の螺旋階段の一番下に座り、二人きりの甘い時間がそこにはあった。


よく考えてみた。確か、ラミにパイと飲み物をあげ、一緒に色々と話していた。そのはずだった。しかし突然ラミは物凄く接近してきて、抱き着かれた。慌てているとフレッドがやって来て、空き缶を指差した。


「それ、アルコール入りだぜ?」


時既に遅し。ぐでーん、と酔ったラミは顔を赤くしながらジョージから離れようとしなかった。フレッドの隣にアンジェリーナが来た。


「なに、ジョージわざと?」
「そんな訳あるか。アンジェリーナ、悪いけどラミを部屋に…」


すると彼女はニヤニヤ笑った。


「嫌よ。私今はフレッドといたいの。夜風にあたってくれば?酔いも冷めるわよ。」


二人は再びニヤニヤしながらソファーから離れた。アンジェリーナ、最近フレッドに似てきたな、と内心ため息をつき、ジョージはアドバイスを受け入れた。


しかし談話室にいた時よりもおかしな状況に陥っている。階段の段差に腰を下ろし、ラミに風を送ってやる。するとラミはぱっと目を覚まし、ジョージの首に腕を回し、抱き着いたのだ。


「ジョージ…」


いつもの強気な彼女からは到底想像もできないほどの甘い声。ジョージは緊張で体を硬直させた。


「何だよ?」
「ジョージ、キスして…」


ラミが顔を上げると同時にジョージは顔をそらした。微かに、ぽってりした唇を視界に入れてしまった。


完璧に酔ってる!


「いや、無理だろ…これ。」
「無理?ジョージ、私のこと…嫌いなの?」


酔ったラミは近距離で熱い視線を送っていた。対してのジョージは顔をそらしたまま頭はパニック。いつもと違う積極的すぎるラミに、心臓が不規則に脈打っていた。

[ 80/148 ]

[] []