解説者席は全部が見えるように、一般生徒席よりも高い塔の上にある。そして教師達を差し置いて一番前という特等席。


「今日の注目はルーキー・ハリーだ!」


うきうきしながらリーは隣で解説の準備をしていた。後ろにはやはりマクゴナガル先生がいる。


「得点板やってみる?」


なんとクィディッチ初心者でありながら、得点板という重大な任務を承ってしまった…!


「得点簡単だから。俺が教えてやるからさ。」
「やってみる!」


その時、マダム・フーチが審判として競技場の中央に立った。ラミは初めての緊張に、唾を飲み込んだ。笛が鳴り、一斉に箒が舞い上がった。大きな歓声の中、ラミは即座にジョージの姿を見付け、安堵する。


「さて、クアッフルはたちまちグリフィンドールのアンジェリーナ・ジョンソンが取りました!」


横で真面目に実況するリーに、少なからず驚いた。しかし、


「なんて素晴らしいチェイサーでしょう。その上かなり魅力的であります。」
「ジョーダン!」
「失礼しました、先生。」


ラミは軽く笑うと、すぐにジョージに視線を戻した。箒の上で仲間を守るように暴れ玉を打っている。その先ではアンジェリーナがスリザリンに取られたクアッフルを奪い返していた。


「ジョージ…、アンジェリーナ頑張れ!」


始めは静かに見ていたが、試合中盤になると自然と声が出てきた。そしてスリザリンのマーカス・フリントがハリーを突き飛ばすのを見ると、大声を上げて講義し始める。


「ハリー!スリザリン今の狡いわ!卑怯よ!」
「ミス・ヘンリー。声が大きいですよ。ここは実況席です。マイクに声が入っています。」


マクゴナガル先生に注意され、我に返る。今のはマイクを通して全員に聞こえていた。やってしまった、と顔を青ざめていると、解説者席の上辺りにジョージが飛んできた。ニヤニヤと笑っている。


「威勢がいいな、ラミ!」


そう言うとすぐにブラッジャーを打ちに離れて行ってしまった。


「えー、誰が見てもはっきりと、胸糞の悪くなるようなインチキの後…」
「ジョーダン!」
「えーと、おおっぴらで不快なファールの後…」
「ジョーダン、いい加減にしないと…」


その後もリーはマクゴナガル先生に注意を受けながら実況を続けた。ラミはさっきみたいなことにはならないように、小さな声でこそこそと応援していた。

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