その日の夕方、アンジェリーナやアリシアがクィディッチの練習に行ってしまい、久しぶりに授業の予習をしようと図書室に向かった。隣に人がいないのは何だか違和感。去年はそれが当然のことだったのに。
変わったんだな、と自嘲じみた渇いた笑みが浮かんだ。変われたのも、全部ジョージのおかげなのだ。
そう考えたのは図書室直前の階段を下り、廊下を曲がろうとした時だ。後ろから強い力で手を引っ張られ、よろめいた瞬間、背中に冷たい壁が当たった。
「何か用?」
階段下の物陰に引き込まれ、ラミの周りを女の子達が囲んでいる。ネクタイの色は様々で、グリフィンドールだけではない。ラミは彼女達を睨んだ。
「調子乗んな!」
「あんたもう友達できたんでしょ?いつまでもジョージに引っ付いてんじゃないわよ!」
彼女達の怒号にラミは顔を歪める。悔しくなると同時に、何も言い返せなかった。その通りかもしれない、と一瞬思ってしまった。
「もうジョージお払い箱なんでしょ?ジョンソンとスピネットにくっついてればいいじゃない。」
「ジョージ必要ないんでしょ?」
だから女は醜いなんて言われるんだ。ラミはついに口を開いた。迷いはない。
「必要よ!ジョージは大切な友人なの!あなた達にとやかく言われる筋合いないわっ!」
そうよ。アンジェリーナやアリシアも仲良くしてくれる。でもジョージとは違う。ジョージは本当に大切な、
「大切な人なの。私の世界を変えてくれた。あなた達にジョージの何が分かるの?言い掛かりはやめて!」
言い返した。しっかりと目を見て、言い返した。女の子達は少し怯んでいた。
「楽しそうだね?」
階段の手摺りから顔を出しているジョージがいた。来てくれた、とラミは自然と顔を綻ばす。女の子達はとても慌てていた。
「ジョージ…」
「残念。俺フレッド。ジョージには黙っておくから、早く帰れ。」
珍しく怒っている様子。しかし、ラミにはフレッドだと言った彼がジョージにしか見えなかった。
[ 74/148 ]
[←] [→]