廊下は人でいっぱいだ。ハリーやロンが通ったら悪戯してやろう、ってフレッド達と企んでいた。そんな時だった。


「セドリック、最近ヘンリーと仲良いらしいな?紹介しろよ。」


中庭から男の声がして振り向くと、ローブを着た男と、セドリック・ディゴリーが話していた。男の発言に少しイラっとしていると、ディゴリーは言い返した。


「ラミ、君には興味ないと思うよ。名前も知らないだろうし。」
「じゃあお前には興味あるって言うのかよ?」
「彼女がそう言ってた。」


廊下をロン達が通るかなんて、どうでもよくなっていた。中庭のあいつらに視線はくぎづけ、耳も自然と傾く。


「ほう。じゃあいい感じなんだな?」
「いや、全く。でも今度、箒に乗せてやる約束をした。」


手の力が一気に抜けた。ラミとディゴリーがそんなに仲が良くなっていたなんて、思わなかった。


悔しい。ディゴリーにだけはラミを渡したくない。ハンサムで真面目な上にクィディッチ選手だなんて、皆の羨望の的だった。しかしジョージにとって真面目でハンサムなど羨ましいと感じるポイントではなく、逆につまらない人間だと思っていた。ディゴリーを初めて羨ましいと感じた。


「気にするなよ。どうせディゴリーだ。二つの言葉を繋げる頭もない。無口な男なんてすぐ飽きられる。」


フレッドは慰めの言葉をかけたが、ジョージは中庭にいるディゴリーの背中をじっと見つめていた。

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