マクゴナガル先生の用事を済ませた後、グリフィンドール塔への廊下を歩いていると、中庭に手に箒を持った集団がいた。ああ、クディッチの練習か、と納得した。ハッフルパフだ。
「あ、ヘンリー!」
集団から外れ、ラミの元に走ったのはセドリック・ディゴリーだった。手に持つ箒はセドリックによく似合っていた。
「クィディッチの練習?」
「そう!シーカーなんだ。」
少し得意げに言うセドリックにラミは微笑んだ。しかし申し訳なさそうに尋ねる。
「シーカーって?」
「スニッチを追うポジションさ。」
「それ、凄いの?」
思ったままに尋ねるラミにセドリックは笑った。突然笑い出され、ラミはむっとしたが、セドリックはすぐに謝った。笑いながら。
「ごめんごめん。クィディッチのこと何も知らないんだね。」
「だって、ちゃんと試合を見たことないもの。」
「そっか。じゃあ僕の試合見に来てよ。と、言いたいところだけど、初戦はグリフィンドールとスリザリンだね。」
「見に行くわ!」
ラミは目を輝かせた。そして身を乗り出して答える。
「ありがとう。お礼に今度、箒に乗せてあげるよ。」
「いいの?私、飛行術が苦手で…嬉しい!」
すると、セドリックも嬉しそうに微笑む。その時、中庭にいた集団がセドリックを呼ぶ声がした。
「僕のこと、セドリックって呼んで。じゃあ!」
「あ、私のこともっ」
慌てて踵を返したセドリックの背中に声を投げ掛けると、セドリックは振り向き、大きく頷いた。
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