大理石の白い中央階段を駆け登った。マクゴナガル先生に呼び出された用事は何だろう、と物思いに耽っていたのが駄目だったのだろう。階段を曲がる角で、強い衝撃を受けた。そして教科書類が床に散らばる。


「った!」


段差の上から落ちてきた声に顔を上げると、綺麗なブロンドの髪。有名な奴だった。スリザリンの、


「マルフォイ…」
「そう言うお前はグリフィンドールの、ヘンリーじゃないか。」


嫌みったらしい言い方に、ラミは頭にきたのか、下から睨み上げた。するとマルフォイは再び嫌みったらしく眉を上げた。


「さすがヘンリー家の一人娘だな。中身よりも表面重視か。」
「あなたは中身も表面も最悪ね!」


マルフォイのことは談話室でハリーとロンが愚痴っているのをよく耳にしていた。ジョージもあまり好きではない、と言っていたし、ラミ自身も話を聞く限りでは嫌悪していた。


言ってやった!


ラミは心の中ですっきりしていたが、マルフォイは嫌そうに顔を歪めた。


「お前…調子に乗るなよ!」
「あなたこそ調子に乗らないで!年上になんて口の聞き方よ!」


ふん、と鼻を鳴らすと、マルフォイは階段の段差をいいことに、上からぐい、とラミに顔を近付けた。思わず身を縮こませるラミ。ニヤリとマルフォイが笑ったその時。


ラミとマルフォイの間に一つのヌガーが浮かんだ。何かと、疑問に思う前にそのヌガーはマルフォイの口に突っ込んで行った。そして、ラミの両隣にはウィーズリーの双子がいた。


「マルフォイ、高望みはやめたまえ。」
「僕らの姫に手を出さないで頂けるかい?」


そう言った次の瞬間、マルフォイの舌が大きく膨れ上がるのを見た。どうやらさっきのヌガーは双子が魔法で浮かせた物で、マルフォイは吐き出すことなく飲み込んでしまったのだ。目の前で咽込むマルフォイに、ラミはジョージを見た。するとジョージは嬉しそうにウインクを飛ばした。


「ハニーデュークスで買ったんだ。ロンの食事に盛ろうと思ったのに。」
「ジョージ、ラミ、スネイプが来る前にとんずらこくぞ!」


フレッドは杖を振り、階段に散らばった教科書を浮かせ、それをジョージがキャッチし、三人は走り出した。

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