アンジェリーナは双子を店から引っ張り出し、通りのベンチに座らせると、その前に仁王立ちをした。


「馬鹿じゃないの!普通人混みの中に女の子連れて入る?」


怒り激震のアンジェリーナを前に、フレッドはジョージに耳打ちをした。


「デート中に怒鳴り散らすのが女の子?」
「フレッド!」


アンジェリーナの声にフレッドは肩を揺らした。ラミはその後ろで、何が何だか分かっていない様子。


「だいたいね、ジョージ!」
「お、俺?フレッドに怒ってたんじゃ…?」
「ラミに謝りなさいよ!」
「え?」
「アンジェリーナ?」


ジョージとラミは同時に声を発した。


「ラミが人混み苦手なの、あなた知ってるわよね?」
「あ…」


ラミはアンジェリーナが自分のために怒っていたことに気付くと、慌てて止めに入った。ジョージも気付いたらしく、申し訳なさそうにしていた。


「気にしなくていいよ、楽しかったし。」
「全然楽しそうじゃなかったわよ。」
「やっちまったなー、ジョージ!」


呑気に言うフレッドに再びアンジェリーナは怒り出す。そんな二人を余所に、ジョージはラミに向き直る。


「ごめん…。」
「う、ううん!全然…大丈夫、」


実は結構大丈夫じゃなかったけど。悪くなった空気を変えるため、ラミは一つの我が儘を口にした。


「ジョージ、私、お菓子食べたいな。」

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