ラミは自室の鏡に全身を写した。初めてのホグズミード。やはり女の子として、お洒落をしたい。ジョージは褒めてくれるだろうか、と無意識に鏡の中の自分に問い掛けていた。
「って!」
我に返り、焦って訂正をする。褒められたって嬉しくないんだ。今までだって知らない男に言い寄られたことはたくさんあって、その度に嫌な思いをしてきた。でもジョージは表面を見ない。そこがまた、好きなんだ。
「好きって!」
そんなの当たり前じゃない!友達なんだもの。好きなのは当たり前よ。特別な思いじゃないわ。
「ラミ〜?」
「は、はい!」
扉をノックされ、ラミは急いで扉を開けた。するとそこには同じくお洒落をしたアンジェリーナとアリシアが立っていた。
「え、ど、どうしたの?」
「なんでそんなに動揺してんのよ。下までご一緒しない?」
ラミは慌てて何度も頷いた。そんな彼女を見て、アリシアはクスクスと笑った。
「今日は、なんだか可愛いわね、ラミ。」
瞬間、ラミは動きを止めた。アリシアとアンジェリーナはラミを見て、クエスチョンマークを浮かべた。
「おーい、ラミ?」
「初めて言われた…」
“可愛い”って、初めて言われた。いつもいつも、“綺麗”って…
「そうね。確かに今日のラミは“綺麗”って言うより“可愛い”わ。」
「きっと恋をしているからよ!」
勝手に話を進めた二人にラミは我に返り、必死に否定をした。
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