「…やばい。」


寮の自室のベッドに座り、頭を抱え込むジョージに、同室のフレッドとリーは揃って首を傾げた。そして二人顔を見合わせると、ニヤリと口元を緩め、ジョージを挟むように両隣に腰を下ろした。


「どうした兄弟?」
「なんだなんだ、湖でラミと何かあったのか?」


二人はジョージの肩に腕を回し、顔を覗き込んだ。しかし当のジョージは顔を真っ青にし、かと思えば何かを思い出したのか、真っ赤になったりもした。


「青くなったり赤くなったり、忙しい奴だな。」


リーが呆れ気味に言うと、ジョージは更に肩を落とした。


「らしくないな、ジョージ。」
「恋をすればジョージだって男になるさ。」
「なるほど。ついにお姫様に恋をしたのか。」
「してない。」


勝手に話を進める二人に、ジョージはきっぱり言い放った。しかし二人はケラケラと笑うばかりだ。


「そんなに顔を赤くして、説得力ないぞ。」


そう言われ、ジョージは慌てて自分の頬に手を当てた。確かに、熱い気がする。すると、それを見た二人は、ジョージが乙女になったぞ、と腹を抱えて笑い出したから、ジョージは立ち上がって出来る限り否定をした。

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