「…やばい。」
寮の自室のベッドに座り、頭を抱え込むジョージに、同室のフレッドとリーは揃って首を傾げた。そして二人顔を見合わせると、ニヤリと口元を緩め、ジョージを挟むように両隣に腰を下ろした。
「どうした兄弟?」
「なんだなんだ、湖でラミと何かあったのか?」
二人はジョージの肩に腕を回し、顔を覗き込んだ。しかし当のジョージは顔を真っ青にし、かと思えば何かを思い出したのか、真っ赤になったりもした。
「青くなったり赤くなったり、忙しい奴だな。」
リーが呆れ気味に言うと、ジョージは更に肩を落とした。
「らしくないな、ジョージ。」
「恋をすればジョージだって男になるさ。」
「なるほど。ついにお姫様に恋をしたのか。」
「してない。」
勝手に話を進める二人に、ジョージはきっぱり言い放った。しかし二人はケラケラと笑うばかりだ。
「そんなに顔を赤くして、説得力ないぞ。」
そう言われ、ジョージは慌てて自分の頬に手を当てた。確かに、熱い気がする。すると、それを見た二人は、ジョージが乙女になったぞ、と腹を抱えて笑い出したから、ジョージは立ち上がって出来る限り否定をした。[ 55/148 ] [←] [→]