本当にもうないのかとか、ジョージが私のことを捨てることはないのかとか、少し信じられなかったが、たとえ偽りだとしても今はジョージの言葉に救われる。


どうやら私は本当にジョージを失いたくないらしい


「なら、いいわ。ジョージを信じるね?」


ジョージは顔を綻ばせてラミの頭を撫でた。ラミがジョージを怒らせた、と気にしてくれるのは、彼にとって申し訳なくもあり、嬉しくもあった。今まで他人に全く興味を示さなかったラミが自分に対しては心を開きかけている。一人の人間として、とても誇らしくなった。


しかし、同時に自分の我が儘にラミを振り回している気もした。このままだと、ラミはジョージという小さな世界に閉じ込められてしまう。


「ジョージ?」


風に靡く髪を右手で抑えながら、ラミはジョージの顔を覗き込んだ。同時に、ジョージは反対側に顔をそらす。やはり友達と言っても、魔法界一の美人だと言われるラミを直視なんて出来なかった。


「あ、いや…」
「ホグズミード、楽しみね。」


隣で嬉しそうに呟くラミを見て、ジョージは柄にもなく頬を紅潮させた。そんなジョージに気付くこともなく、ラミは湖を前にはしゃぐだけだった。

[ 54/148 ]

[] []