学校が始まって一ヶ月もたたないうちに、ラミの周りは友達でいっぱいになった。全く笑顔を見せなかったラミは、笑顔でいることが当たり前になった。


「ねえ、ラミ。今度のホグズミード、一緒に行かない?」


朝食のとき、アンジェリーナは誘ってくれた。予想もしない誘いに、ラミは食べかけたスクランブルエッグを口から落としそうになった。


「私と?」
「うん、どう?アリシアも一緒。」


当然のように言う彼女に、胸の奥がほっこりした。


「あ…とっても嬉しいわ。でも先約が…、」
「あら、ジョージね?」


アンジェリーナの隣からアリシアは顔を出し、笑顔で尋ねた。その笑顔には少なからず、からかいの意はこもっていた。


「ええ、まあ、」
「初めてのデートなんだ?じゃあ私達は邪魔できないね。」


アンジェリーナはオレンジジュースを飲み干してから言った。


「デート?それは違うわ。」
「いいえ、デートよ。男の子と二人で出掛けるなんて普通じゃないもの。たとえ友達だとしても、二人で出掛けるのは、紛れも無くデートよ。」


自信満々に言うアリシアに、ラミはあっけらかんとした。人と関わるのは(色恋沙汰も含め)うまくないラミは、アリシアの言葉を信じ込むしかなかった。

[ 51/148 ]

[←] []