大広間はいつもの通り、人でごった返している。グリフィンドールの机にフレッドやリー、アンジェリーナの姿を見付け、ジョージは笑顔で駆け寄った。だが、ラミは入口の所でそれを眺めることしか出来なかった。
もともと、私はあの中にいるべき人間じゃないから。
みんなの笑顔が、視界に映った。
「どうかしたのかい?」
その時、背後から掛けられた声に、ラミは振り向いた。
「セドリック・ディゴリー…」
「ディゴリーでいいよ。」
笑いながら彼は言った。その笑顔を見ただけで、わかる。さすが女の子に人気なだけある。
「食べないのか?」
何も答えなかった。グリフィンドールのテーブルでは、フレッドが何だか騒いでいて、隣でジョージが笑っていた。
「あれ、ウィーズリーだろ?ジョージ・ウィーズリー。」
セドリックの視線は椅子に立ち上がってどんちゃん騒ぎのフレッドに向かっていた。
「違うわ、あれ、フレッドの方よ。隣に座っているのがジョージ。」
訂正したラミに、セドリックはにっこりと微笑んだ。そしてそのままハッフルパフのテーブルに向かって行った。
何だったんだろう、と首を傾げるラミに、今度はグリフィンドールのテーブルから声を掛けられる。
「ラミ!」
そちらを向くと、ジョージやフレッドだけでなく、リー、アンジェリーナもアリシアもケイティも、それからハリー、ロン、ハーマイオニーまで、さっき双子を中心に笑っていたみんなが、ラミの方に顔を向け、微笑みながら手招きをしていた。
羨ましいと妬んだ彼らが、笑顔を向けている。仲間に入りたいと願った彼らが、手招きをしていた。
ラミは今までに見たことがないような穏やかな笑顔を浮かべながら、大広間の中央を毅然と歩いた。
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