突然やって来た彼は、ラミのことなど気にせず話し出した。新しい商品がどうとか授業がどうとか先生がどうとか。


「…結局、用事はないのでしょ?」


ラミが静かにそう言えば、ジョージは少し驚いた表情を見せた。そして当然のように言う。


「用事がないと、来ちゃダメかい?」
「ええ、ダメよ。」


ラミはすかさず返事をする。
そして立ち上がり、振り返りもせずに中庭から立ち去った。


何も分かってない。何も知らない。


ウィーズリーなんて、私の一番苦手とするタイプだわ。二度と話し掛けないでほしい。なんて思ったが、廊下の途中で後ろを振り向いた。


もちろん誰もいない。ジョージはまだ中庭にいるだろう。ベンチでうなだれる彼が見えた。そんな彼を見て、少しだけ笑ってしまったのは、絶対内緒。

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