俯きかけたラミに、そうか残念だ、とジョージも呟いた。賑やかなウィーズリー家が更に賑やかになると思ったのに。


「見て、あれ。」


こそっとした声がして、そちらを見ると本棚の影から数人の女の子達がこちらを見ていた。ジョージは話すのに夢中で気付いていないようだ。


「フレッドの好きな子のこと、ずっと気になってたんだ。でも見てて何となく分かった。アンジェリーナだって。」


課題を忘れて雑談に熱を入れるジョージにラミはくすくすと笑った。


「そうね、お似合いだと思うわ。私はてっきりジョージが好きなのかと。」


口にすると、再びもやもやした感情がラミを襲った。でもそれを特に気にする様子はなく、開き直っていた。


当たり前だわ。友人にガールフレンドがいたら、負い目を感じなくてはならない。


「彼女のことは好きさ、もちろん。」


ラミは顔を上げたが、ジョージは間髪入れずにまた口を開いた。


「アンジェリーナに悪戯を仕掛けた時の反応は最高級に面白い。」


ジョージは得意げに胸を張って言った。


「やあ、ラミ。お楽しみのところ悪いけど、少しジョージを借りてもいいかな?」


振り向くと、ラミとジョージが座る椅子の背もたれに手をかけて、こちらに話し掛けるフレッドがいた。


「どうぞ、喜んで。課題を邪魔されて困ってたの。」


さらりと言うラミにジョージは言い返す。


「何言ってるんだラミ!君が…」
「じゃあ来てくれ、ジョージ。」


彼の言葉を遮ってフレッドはジョージの手をとった。そんなに急ぎなのか、とジョージも慌てて立ち上がって図書館から走り出た。


隣の席にはジョージの羽ペンやら古びた辞書やらが残った。


戻って来るのかしら?


とりあえずラミは自分の課題を終わらせようと、再び机に向かった。


しばらく時間がたって、図書館から人が減ってきても、ジョージは戻って来なかった。夕食の時間になり、ラミはジョージの分の教科書を持ち、一人で大広間に向かった。

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