「ブラッジャーに当たりそうになった時に、ジョージが来てくれて、アンジェリーナさんに、」
「俺は行ってない!」
「え?」
「凄く心配したさ、もちろん。なのにフレッドは自分で打ったブラッジャーを片付けることもなく、一目散にラミとアンジェリーナに駆け寄った。」
「…フレッド?」
フレッドを見ると、ニヤリと笑った。そこで初めて疑惑が確信に変わった。そして一瞬にして血の気が引いた。
「もしかして…」
「フレッドのガールフレンドがアンジェリーナさん?」
フレッドは得意げにアンジェリーナの肩に手を回した。だが彼女は嫌そうにその手をつねった。
「じゃ、じゃあ、ジョージの、ガールフレンドは?」
「俺にガールフレンドはいないよ。」
その言葉にラミは安堵の息をもらした。
よかった…
「俺とジョージを間違えたんだな。」
フレッドの馬鹿にしたような言い方。安心したのと同時に猛烈に怒りが滲み出る。
この何日間はなんだったの!なんだか腹が立ってきた。
「なんであなた達は双子なのよ!同じ顔なんてずるいわ!信じられない…ジョージ!ここ数日間ずっと負い目を感じてきたわ!生きた心地がしなかった!どう責任とってくれるのよ!」
突然の癇癪にその場の五人は笑った。笑い事じゃないわ!、とプリプリ怒りながらラミは大広間に向かって歩き出した。
「責任だって。ジョージ、どうするの?」
アリシアはニヤニヤしながら尋ねると、ジョージも悪戯な笑みを浮かべた。
「よし、じゃあ今日は練習がないから一緒にルーン語の課題をやろう。話したいこともたまってたんだ」
ジョージは先に歩くラミの元まで走り、隣に並んだ。冗談じゃないわ!、と廊下には彼女の声が響いていた。
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