「ごめんなさい。なんか腹が立って。」
ラミは泣きながら首を横に振った。
違うの、嬉しいの。
それでも出てくるのは言葉ではなく涙。
「私があなたより美しいなんて思ってないよ。嘘。だから気にしないで。」
優しく言ったつもりだったが、ラミは更に涙を増やした。
「ううん…あなたのこと、素敵だと、思うわ。」
「あら、ありがとう。」
その時、フレッドとジョージが駆け寄った。
「大丈夫かい?何があった?」
心配そうに自分に駆け寄ったのは、多分ジョージだろう。隣にアンジェリーナがいるのに。
「スリザリンの女の子がラミの美しさを妬んでいたから、私の方が美しいって言ってあげたのよ。」
当然のように言うアンジェリーナにフレッドは腹を抱えて笑った。ジョージもさすがアンジェリーナ、と感心していた。
「でも俺は、アンジェリーナの方が素敵だと思うよ。」
フレッドと思われる双子の片割れが彼女にウインクをした。
あれ?
心配そうにジョージを見上げると、ジョージは呆れたように笑っていた。
あれ?
「ここでやめてくれよ。」
「そうよ、アンジェリーナ。目の前でいちゃつかないで。」
アリシアの言葉にラミの涙はぴたりと止まった。
あれ…?
「大丈夫かい、ラミ。」
ジョージは優しく声をかけた。
ラミは半信半疑の様子で微かに頷いた。
「ラミ、ずっとあなたにお礼をしようと思ったの。クィディッチの練習の時にバカフレッドが打ったブラッジャーから助けてくれた。ありがとう。」
真っ正面から感謝の意を述べられ、ラミは微かに顔を赤らめた。
「そう、あの時なにが『ごめんなさい』だったの?」
フレッドはラミに向かって尋ねる。謝ったのはフレッドに対してではなくてジョージに対してだったのに。
「えっ…ジョージが、」
「俺?」
「ジョージが、アンジェリーナさんのことを好きだって知って…」
ぽかんと口を開けた間抜けな顔が三つあった。ケイティとアリシアはくすくすと笑った。
「いつ好きになったんだ!」
フレッドはジョージにつかみ掛かろうとしていた。アンジェリーナは一睨みでそれを制する。
「俺が?いつ?アンジェリーナを?どうして?」
慌てるジョージにラミも慌てる。やはり勘違いだったのだろうか。
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