その日は突然やって来た。
しばらくの間、ジョージは一緒にいようとしてくれたが、その気持ちを素直に受け取ることは出来なかった。食事以外の時は一緒にいることはなくなった。
その方が、彼女も…
アンジェリーナの笑顔を見ながら思った。彼女は何も悪いことはしていない。悪口もラミの前では言ったことがなかった(実際言っていない)。
「やっぱりヘンリーのお嬢さんは綺麗ね。」
どこからともなく聞こえてくる妬みの声。スリザリン生達だ。廊下を歩くだけで言われる。でも気にしない。ジョージが気にしないと言ってくれたから。
「ジョージもきっと顔にやられたのよ。噂じゃ性格は最低だって。」
今まではなかった悪口の種類が増えたのは確実だ。ジョージのことを悪く言われたくない。
「でもジョージとは似合わないわ。不釣り合いよ。」
似合わない。不釣り合い。
言葉が胸に突き刺さった。
「私はあなたの方が似合わないと思うけど?」
突然の声にラミは顔を上げた。何故かアリシア・スピネットが反撃している。隣にはアンジェリーナ・ジョンソンも、ケイティ・ベルもいた。
「な、なによ!」
スリザリンの女の子は顔を赤くして甲高い声を上げる。
「あんたの目は節穴?」
そしてアンジェリーナが喧嘩を売りはじめる。
「どう見たって私の方が綺麗じゃない。ヘンリー家のお嬢様より美しい人なんてたくさんいるよ。知らないの?」
廊下にいたみんなは驚きを隠せなかった。ラミも同様。開いた口が塞がらない。だがその瞬間、廊下にいたスリザリン以外のグリフィンドール生、レイブンクロー生、ハッフルパフ生から歓声が上がる。拍手をしていたり、笑っていたり。
アンジェリーナの言ったことには、傷付くべきなの?
ラミは初めて言われた言葉に涙を流した。もちろん、嬉しくて。
スリザリン生が尻尾を巻いて逃げた後、アンジェリーナはラミに向き直った。
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