空中を踊り狂うように飛ぶブラッジャーを棍棒でフレッドの方に打ち返した。その瞬間、下にちらりと視線を向ければラミはまだリーと話して笑っていた。


なんだかもやもやして、腹が立ってどうしようもなかった。その感情が誰に対してのものかも分からず、ブラッジャーにぶつけるしかなかった。


「ジョージ、どうしたんだ?」


フレッドは遠くからブラッジャーを打ち返しながら叫んだ。ジョージもそれを再び打ち返した。


「集中しろ!集中!」


フレッドが叫んでいる。イライラは更に募った。


「してるよ!」


フレッドが打ち返したブラッジャーはジグザグに空を飛びながら、観客席に向かった。ジョージは箒の向きを力付くで変え、観客席に向かって全速力で飛んだ。


間一髪で間に合い、誰にも怪我を負わせずにまた打ち返した。危なかった、と安堵の息をもらす。


「ジョージ!」


下からラミの声がしたが、聞こえない振りをして、また箒を飛ばした。

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