ジョージをロッカールームに追いやってからラミは観客席にやって来た。そこにはちらほらと練習を見に来ているグリフィンドール生がいた。双子のウィーズリーの悪戯仲間のリー・ジョーダンもいた。


空を飛ぶ選手達の練習を見上げていた彼は突然こちらを向いた。


「今年は凄いぜ?」


話し掛けられて、驚きを隠せない。


私、彼と会話をするほど仲良かったかしら?


うーん、と唸るラミにリーは勝手に話を続けた。


「こんなに早くから練習を始めるところなんてグリフィンドール以外いないぜ!今年は優勝間違いない!」


確かに、九月に入ってからまだ二週間もたっていない。


「それはそうと、君は今年発売のニンバス2000を見たことあるかい?あの箒は素晴らしい!この間ダイアゴン横丁の高級箒用具店のウインドウで見たんだ!欲しかったなあ。」


勝手に話しつづけるリー・ジョーダンに、どこかジョージと似ているところがあって、ラミはくすくすと笑った。


「何か面白かったかい?」
「いいえ。あなたも楽しそうに話すのね。」
「あなたも?」
「ジョージも、楽しそうに話す。」
「あの双子は息をするだけでも面白くて笑い転げてるさ。」
「あはは!」


少し前屈みになって笑っていると、上空を飛んでいたジョージだかフレッドが下りてきた。


「リー、ラミに変なこと言うなよ!」
「ジョージ!」


強めに言う彼の更に上の方から彼を呼ぶ声がして、すぐに戻って行った。そこで初めて彼がジョージだったと分かった。


「あいつ、何かと過保護だよな。」


呆れたように言ったリーにラミは更に笑った。

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