生活が一変した。朝起きたらまず、談話室に下りる。するとジョージが話し掛けてくる。
「おはよう、ラミ。」
「おはよう、ジョージ。」
こんなに温かい朝はいつぶりだろう。ジョージの笑顔が視界に入り込んだ。
「大広間に行こう!」
二人で並んで廊下を歩く。ほとんど首なしニックに紳士的な挨拶をされる。それに笑顔で返せるようにもなった。
「やあ、ラミ!今日もお美しい。」
おどけて言うフレッドに、ラミはあからさまに嫌な顔をした。すると両隣にいたウィーズリー兄弟は声を上げて笑った。
「綺麗な顔が台なしですよ?姫。」
「私お姫様じゃないわ。」
テーブルに座ると、隣にジョージ、前にフレッドが座った。フレッドの発言はいちいちカンに障る。でもそれほど嫌ではないのは、きっと本気で言ってないということが分かるから。
「ラミは本当に俺たちの見分けがつくのかい?」
コーンフレークを皿に盛りながらジョージはラミに話を振った。
「つかないわよ?」
しれっと言うラミに双子は椅子からずり落ちそうになった。
「雰囲気で何となく。私に話し掛ける変人なんてジョージだけだったけど、ジョージが罰則受けてたり、いない時にはフレッドでしょ?」
なるほど、と双子は同じ顔で頷いた。
「どうするよ、相棒」
「何が?」
ラミは授業の準備をすると言って寮に戻ってから、フレッドは真剣に話し掛けてきた。
「ラミは、俺たちの見分けがつかない。」
「だから?」
馴れ馴れしく名前を呼ぶなよ、と内心思いながらジョージは相槌を打った。
「俺がジョージの振りをして、ラミに迫ることも出来るのだ。」
開いた口が塞がらない。フレッドはそんな馬鹿げたことを考えてるのか?
「ラミに手を出すなよ。フレッドにはたくさんいるだろ。」
するとフレッドはニヤリと笑った。
「残念、俺は一筋なんだよ。」
フレッドは相変わらず人気だ。(ジョージも同じくらい人気なのだが。)でもフレッドが想う人がいるなんて話はジョージは聞いたことがなかった。
「ラミを好きなのは、ジョージだろ?」
「いや、別に。」
真っすぐに目を見ながら言うフレッドに、ジョージは視線をそらした。
「俺とラミは、友達だからな。」
自分に言い聞かせるように、ジョージは小さく呟いた。
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