人の目が集中するということを嫌うラミ。そんな彼女が何故あの名門校に入学したのかは、言うまでもない。
自分の家系をどれだけ恨んだところで、何も変わらない。
廊下を歩くだけで注目を注がれる。大広間で食事をするだけで悪態をつかれる。
私が何かしたとでも?もう嫌よ。こんな生活うんざり。
入学してからやっと二年がたった。もちろん友人なんて一人も出来ず、誰とも言葉を交わさず生きてきた。今まで大変だった。これからも変わらない生活をしていくのだと思った。ラミはグリフィンドールの長テーブルに座り、組分け帽子が新入生の寮を決めるのを、じっと待った。
何もめでたいことなんてないわ。
横目で組分け帽子を見ると、赤毛の小さな男の子の寮を決めるところだった。
「またウィーズリー家の子か!」
帽子は悪態をつきながら、グリフィンドールの名を叫んだ。またウィーズリー家の子が増える。ラミは小さく溜め息をついた。
食後、新入生にはホグワーツ入学にあたっての心得やら何やらを説明するため、在学生は先に寮へ戻った。夏の休暇中帰宅した生徒たちは久しぶりに再会した友人と騒いでいた。グリフィンドールの談話室はとても混んでいて、ラミはすぐに自室へと足を運んだ。
ラミの自室はもともとは四人部屋だったが、どう頑張っても反りが合わないラミは一人部屋を出て、奥の物置部屋を片付けて、そこを自室とした。もちろん監督生は何度か注意しようとしたが、ラミには強く言えないのが実状だ。
下の談話室からはウィーズリーの双子が騒いでる声が聞こえる。
「…うるさい。」
あまりにうるさくて顔をしかめたが、どうすることもできず、彼女は自室を出た。
階段を下りて談話室に出ると、そこにいた全員がラミに視線を向ける。と、同時に襲い掛かる沈黙の空気。
ウィーズリーの双子が手に持つ、何とか花火だけが音を放っていた。
「…何?」
もちろん誰も答えず、ラミは呆れた。文句があるのなら言えばいい。言う気がないのなら、いちいちこちらを見るな。
ラミは何も言わずに談話室の扉を開け、廊下に出た。
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