縦長の袋から中身を取り出すと、それは羽ペンだった。
「今日午前中に、ホグズミードに行ってきたんだ。」
「ホグズミード?汽車もないのに?」
「この悪戯仕掛人を甘くみないで頂きたい。授業をさぼってホグズミードに行ってくるなんて、朝飯前さ。」
得意げに言うジョージに溜め息が出た。だからルーン語の授業にいなかったのか。
「でも、どうして羽ペン?」
「君がこの間落とした羽ペンを届けたら暖炉行きになっただろ?俺が触ってない新品なら、使えるのかと思ってさ。」
だからわざわざ買いに行ったのか。自分のために、汽車もないのに。
そう思うと、少しだけ目頭が熱くなった。
どうしよう、泣きそうよ。ジョージは勘違いをしている。嫌いな訳ではないのに。言わないと、ちゃんと伝えないと。
「…違うの、」
ジョージは不思議そうな顔をこちらに向けた。
「なにが?」
「あなたのことが嫌いな訳ではないのよ。」
「そうなのかい?てっきり嫌われてるのかと。」
ジョージは笑った。私の方を見ながら。
「なら友達になろう。」
「え?」
「君は友達がいない、って言ってただろ?だから俺が友達になるよ。悪戯仕掛人と友達だなんて、毎日楽しすぎて仕方ないぜ?」
自信満々に言う彼に視線を向けた。いいの?甘えていいのか、私には分からない。
「何も気にすることはないさ。俺は君の引立て役じゃないし、君にもてあそばれてる訳でもない。」
この人は分かってる。私が何を心配してるかも。何を考えているのかも。
「俺はジョージ・ウィーズリー。よろしく。」
ジョージは笑いながら右手を差し出した。握手を求めている。彼は真っすぐにラミを見つめていた。
「わ、私は…、」
ラミもそっと右手を上げる。そして、ぎゅっとジョージの右手を掴んだ。
「私は…、ラミ・ヘンリー。よろしく。」
ジョージは手を握り返しながら、嬉しそうに微笑んだ。
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