「で、結局例のお姫様とはどうなったんだい?」
フレッドは糖蜜パイをつまみながら尋ねた。大広間はいつもと変わらず騒がしかったが、そこにラミの姿は見当たらない。
「どうもなってないぜ?」
「嘘つけよ。この間図書館で、二人の目撃情報が入ってるぜ。」
リーもトライフルに手を延ばしながら言った。ジョージはリーの情報網はさすがだと感心し、頷いた。
「さすがリー・ジョーダン、クィディッチの解説者は違うね。」
「さすが、グリフィンドール贔屓のバカ解説者。」
ジョージの発言にフレッドも悪乗りする。笑い声は絶えない。
「で、結局?」
うまく話を逸らせたと思ったジョージは、話題が戻り困ったように笑った。
「どうもなってないって。」
「しつこいぞ、ジョージ。ならリーの目撃情報はどう説明するんだ。」
フレッドは決まった、と言うようにジョージに向かって人差し指を立てた。
「賭けに負けて伝説のヘンリー嬢と仲良くなろうなんて、生意気なんだよ。」
「賭けに負けたのはたまたまさ。ならフレッドが負ければ良かっただろ?」
この間はわざと負けたって言ってたくせに、とリーは隣でぶつぶつ言っていたが、ジョージは聞こえない振りをした。
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