古代ルーン文字の授業は一番前の席に座った。一番前の席なんて教師の毛穴さえ見えるから、座る奴の気が知れないと昔ウィーズリーの双子が騒いでいた気がする。
ラミにとって担当の教師はどうでもいい。ルーン文字さえ学べれば。今年度から始まる新しい授業に期待で胸を膨らませていた。
「ラミ、ジョージ知らない?」
真後ろの席に座ったのはフレッド・ウィーズリーだった。
「知らないわ。」
言い放つとフレッドはうーん、と唸った。その時、始業ベルが鳴った。このまま後ろの席に居座るつもりだろうか。うるさくなるのだけは、勘弁だ。
教室に担当のバブリングが入って来た。途端にラミは姿勢を整える。そんな姿にフレッドはくすくすと笑った。
「そんなに好きなんだ?」
耳元で囁かれるように言われた。やはり双子というのは似ている。ジョージにも同じことをされた。
「邪魔をしないで。」
キッと睨みながら言うと、フレッドは肩を竦めた。
帰りの廊下で、双子のウィーズリーとリー・ジョーダンが騒いでいたのを見付けた。古代ルーン文字の授業はさぼったくせに、信じられない。ジョージを見ながら、ラミは思った。
「ゾンコの長々花火だ!」
楽しそうにはしゃぐジョージを見て、何故かイライラした。周りにはたくさんの生徒がいた。グリフィンドール生だけでなく、ハッフルパフやレイブンクローの生徒もいる。
それから女の子たち。黄色い声を上げながら、目をハートにしていた。
そんなに人気があるのなら…
一瞬だけ、ジョージがこちらを見た気がしたが、気のせいだったらしい。彼は打ち上げられた長々花火を見上げていた。
「ウィーズリー!」
廊下の端から怒鳴り声が聞こえた。この声は紛れも無く、フィルチのものだった。
「逃げろ!」
それでも笑っている彼らは、こちらに向かって走ってきた。フィルチはラミのいる反対側から走ってくる。
「見たか?あの顔。」
ジョージは笑いながら、隣を走り去った。ラミとは、目も合わせることはなく。
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