寮に戻るために中庭横の廊下を歩く。さっきハリーは中庭にラミがいたと言っていたが、既にそこには誰もいなかった。


なかなか会えない。はやく仲直りがしたいのに。


「…ん?」


ふと、いつもラミが座っているベンチに視線を向けると、キラリと光る何かが地面に落ちていた。


「どうした?ジョージ」
「ちょっと先行っててくれ。」


リーとフレッドにそう言うと、ジョージは中庭に向かって歩き出した。


「なんだ?」
「さあ?」


首を傾げる二人は、ジョージをおいたまま寮に向かった。


ベンチに近寄ると、そのすぐ側の地面に何かが落ちていた。それは羽ペンだった。誰のか、なんてすぐに分かった。


今は誰も座ってないベンチに、ジョージは腰掛けた。微かに温もりが残っていて、ジョージは少しだけ、口元を緩ませた。

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