寮に戻るために中庭横の廊下を歩く。さっきハリーは中庭にラミがいたと言っていたが、既にそこには誰もいなかった。
なかなか会えない。はやく仲直りがしたいのに。
「…ん?」
ふと、いつもラミが座っているベンチに視線を向けると、キラリと光る何かが地面に落ちていた。
「どうした?ジョージ」
「ちょっと先行っててくれ。」
リーとフレッドにそう言うと、ジョージは中庭に向かって歩き出した。
「なんだ?」
「さあ?」
首を傾げる二人は、ジョージをおいたまま寮に向かった。
ベンチに近寄ると、そのすぐ側の地面に何かが落ちていた。それは羽ペンだった。誰のか、なんてすぐに分かった。
今は誰も座ってないベンチに、ジョージは腰掛けた。微かに温もりが残っていて、ジョージは少しだけ、口元を緩ませた。[ 16/148 ] [←] [→]