しかしその真意が分かるのはすぐだった。ラミがあの夜見た少女が今度はフレッドと一緒にいたらしく、それをアンジェリーナは目撃した。その少女が最近の彼らの怪しい行動に繋がりそうで、彼女はリーに尋ねてみた。するとリーは言いにくそうに、しかし隠すことはなくアンジェリーナに説明した。


消灯時間が迫ったとある夜に、アンジェリーナはそれをルームメイトに話した。


「今度の悪戯計画は過去最大級の規模らしいわ。いつものようにフレッド達は作戦会議をしていたんだって。そこで話に入ってきたのがスリザリンのマリス。」
「マリス…。」


聞き覚えのない名前にラミは声に出して復唱する。この間ジョージと歩いていたのは彼女だ。そこでアリシアが思ったことを口にした。


「どうしてスリザリンの女となんか?」
「皆も最初はそう思ったんだって。でも話してるうちに、気が合うし魔法薬の知識もたくさん持ってるから、今回の作戦は彼女と共同作業なんですって。」
「それで冷たくなったの?」
「冷たい、って言うよりも、そのことで頭がいっぱいなのよ。私達の相手をする暇もないくらい。」


ラミはやはり黙って聞いていた。胸がキリキリと痛んだ。しかしジョージの行動にどうこう口を出すつもりは毛頭ないし、そんな権利は自分にはないと自負していた。早くその計画が終わればいいという醜い感情が、心を支配していた。


ジョージとの関係が疎遠になって、少し経ったある日。女子同士で行動する時間がほとんどになっていた。そんな中、リーは前と変わらずよく話し掛けてくれていたが、双子は相変わらずで、ついにアンジェリーナの堪忍袋の緒が切れた。


「ちょっと!フレッド!」
「やあ、アンジェリーナ。」
「やあ、じゃないわよ!ちょっと話があるの。こっち来て。」


フレッドはアンジェリーナに談話室の外に連れていかれた。しかしジョージはラミのことなど気にせず、リーに話し掛けた。


「マリスのとこ、行こうぜ。」


微かにラミの顔が歪んだ。それにいち早くリーは気付く。そして思っていたことを話し出した。


「俺は…もういいよ。」
「は?」
「もういいよ、その計画は。俺はもうやめる。」
「諦めるのかよ?」
「そうじゃなくて。…あいつ、何考えてるのか分からないし。」
「マリスはそこらのスリザリンとは違う!」


リーの発言にジョージは怒気を示した。そんな彼の姿を見ていたくなくて、ラミは寮の階段を駆け登った。

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