夕食後の廊下。人混みの中でラミはジョージの後ろ姿を見付け、顔を綻ばせた。すぐにでも追い付きたくて、ラミは人の間を縫うようにすり抜け、ジョージ、とその愛しい名前を呼ぼうとした瞬間、足が止まった。伸ばした手も宙に浮いたまま。口は半開きのまま。


「わっ!何だよ。」
「邪魔くせえ〜」


人混みの中突然足を止めたラミは、人の流れを遮ってしまい、彼女を避けながら歩く周りの喧騒から声が聞こえた。ジョージは何も気付かずにどんどん先に行ってしまう。


「……誰?」


ジョージと仲よさ気に話しながら並んで歩く少女がいた。グリフィンドールでは見たことがない。アンジェリーナやアリシアのようなクィディッチ仲間ではなさそうだ。ふんわりとした雰囲気を放ち、ジョージを見上げながら微笑んでいる。ジョージも彼女に視線を合わせながら、笑っていた。彼はあんな顔をして笑うのか、と何故か冷静に第三者的目線から見ていた。ジョージはその笑みを顔に貼付けたまま、少女と一緒に雑踏の中に消えていった。


「ラミ?何してんの?」


リーは立ち尽くしていたラミの顔を覗き込んでいた。彼女は驚くこともなく、目を合わせることもなくジョージの消えた先を見つめていた。


「んー?ラミ?」
「リー…。寮に戻ろうか。」


ようやくリーを見て、浅く笑った。しかしその笑みに早くも違和感を感じたのか、訝しげに眉をひそめた。


「何かあった?」
「ん、何も。」


一刻も早く寮に帰りたかった。

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