ジョージはクリスマス休暇は学校に残るようだ。先程のジョージの言葉を嬉しく感じながら女子寮への階段を上った。自室へと戻ると、既に三人はそれぞれのベッドの上で寛ぎ楽しげに会話を繰り広げていた。入ってきたラミを見ると、まずパトリシアが話し掛けた。


「ラミはどこまでいったの?」


突然の問い掛けに意味が分からず、とりあえずラミも自分のベッドに上がった。


「どこまでって?ずっと談話室にいたわよ?」
「そういう意味じゃないわよ。」
「ジョージと、どこまでいったかってこと。」


アリシア、アンジェリーナと続く。どうやらクリスマスを目前に控えて乙女な空気が漂っているようだ。しかしラミにはやはり質問の意図が分からない。


「どこまで?え…っと、一番遠くまで行ったのはホグズミード?」


三人は揃って溜め息をついた。


「手は繋いだか、キスはしたか、その先はしたかってことよ。」
「えっ!」


思わぬ真意にラミは一瞬で顔を上気させた。恥ずかしくなって掛け布団を頭から被った。布団の外からは三人が興味津々にラミの名前を呼ぶ声がした。布団を引きはがそうと引っ張られ、ラミは赤い顔を覗かせた。


「じゃ、じゃあアンジェリーナは…?」
「え…」


恐る恐る尋ねると、アンジェリーナは小さく声を漏らした。彼女もまた顔を赤らめていた。


「えっと…」
「何言ってるのよ、アンジェリーナ。ラミが来るまで散々のろけてたじゃない。」
「のっ!のろけてなんかないよ。」
「よく言うわあ〜。」


あははと笑いながらアリシアとパトリシアがアンジェリーナをからかっている。どうやらラミがいない間にアンジェリーナの話をしていたようだ。それを汲み取ったのかラミは珍しく照れてるアンジェリーナに問い掛けた。


「何かあったの?」
「あのね、フレッドが…、クリスマスプレゼントに指輪くれるって言って…明日ホグズミードで買ってくれるって…」


本気で照れているアンジェリーナをこれまでで一番可愛いと思った。少し羨ましくも思いながら、良かったね、と心底祝ってあげた。しかし問題はその先だった。


「あらそれだけじゃないじゃない。」
「まだあるの?」
「ほらアンジェリーナ。」


いつもの強気な彼女はもういなかった。顔を赤くして少しもじもじしている。そんなアンジェリーナにラミにはハテナマークが浮かぶ。


「その…したの。」
「何を?」


三人は再び溜め息をつく。そしてパトリシアが少し呆れながらラミの方を見た。


「キス、のその先。分かる?」
「えっ…え!えぇ!?アンジェリーナ、おめでとう!」


先程よりも食いつきのよいラミに若干安堵しながら、アンジェリーナはその話を照れながらも話してあげた。

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