談話室に戻った後、ラミは本日出された課題を終わらせようと一人で奮起していた。ソファーに座り、やや低めのテーブルを陣取ってレポートや教科書を広げていた。しかし行き詰まったのか、頭を抱え込んで難しい顔をして教科書を覗き込んでいた。そこにまだ一年生のハーマイオニーがやって来て、ラミの右隣に座った。


「魔法薬学?」


ハーマイオニーはひょいと教科書を取り上げ、ぺらぺらとめくった。そこでラミも肩の力を抜き、羽ペンをテーブルの上に置いた。


「ええ。苦手なのよね。」
「教科としては面白いわよね。」
「ああ、だけどそれを教える教授があの根暗野郎ってとこが気にくわないね。」


ラミの向かい側に座り、話に入ってきたのはジョージとフレッドの弟であるロン。すると必然的に仲良し三人グループの残りのハリーはラミの左隣に座ることになった。


「スネイプって三年の授業でもスリザリンばっかり贔屓するの?」


この三人とはジョージを交えて会話するようにはなったが、こうやって囲まれることには慣れてなく、囲まれる覚えもない。しかし単に話しに来てくれたのだと気付き、ラミは少し嬉しそうな表情を見せた。両隣の二人は気付かないが、向かいに座るロンにはその表情の変化をしっかりと見受けられた。


「そうねえ…、スリザリンの贔屓をする暇もないくらいジョージとフレッドに減点をくらわしているわよ。」


想像がついたのか、三人は噴き出していた。その笑い声に気付いたのか、ジョージとフレッドが四人のいるテーブルに近寄り、ロンの両隣の背もたれに組ませた腕を載せた。


「なんだい、お前ら。俺の彼女に何か用かい?」


ジョージらしからぬくさい台詞だったが、三人は紛れも無くジョージの言葉だと思ったのだが。ラミは笑いながら言った。


「あら、私あなたの彼女になった覚えないけど、フレッド。」


まさかの成り済ましに三人は感嘆の声を漏らした。ジョージはロンの隣で満足そうに頷いていた。


「ところでロン。」
「お前はクリスマス休暇どうするんだ?」
「ママに会いに帰るのか?」


ジョージとフレッドが馬鹿にしたように交互に言うと、ロンは顔をしかめた。馬鹿にされるのはやはり気に入らないのだろう。その後一度ハリーとハーマイオニーと目配せしてから、それに答えた。


「帰らないよ。やる事があるしね。でもハーマイオニーは帰るって。」


ふーん、と軽く流し、ジョージはロン越しにフレッドと目を見合わせ頷き合った。


「じゃあ俺達も帰るのはやめるか。」
「そうだな。パースもロンも残るならいじれる兄弟がいないもんな。」


言い合う二人にロンはあからさまに嫌そうな顔をした。

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