それはまるで悪戯が成功した子供の笑顔だ。ジョージは立ったままラミの顔を覗き込み、上を向かせた。


「俺結構傷付いたなあ。ここ何日か避けられてたし。」
「ごめんなさい。」
「じゃあキスしてよ、ラミから。」


突然何を言う!、とラミは顔を真っ赤にさせて椅子をがたりと鳴らした。あたふたするラミにジョージは笑う。


「ダメ?」
「む、無理よ!」
「無理なの?」
「む、り…」


頬に添えられた手から、ジョージの体温が伝わってきた。近すぎて、頭がくらりとする。ジョージはダメ?、と聞きながら、離すつもりはないようだ。ラミは腹を括り、小さく口を開いた。


「…目、つぶって。」
「ん。」


素直に目を閉じる。こういう時だけ素直なんだから、と少し呆れながら、ラミはジョージの頬に手を添え、少し下に引っ張った。微かに触れた唇。よくやった自分、と達成感に浸っていると、ラミの頬にあったジョージの手が後頭部に移動した。


「んっ!?」


突如口の中に何かが侵入してきた。すぐにそれがジョージの舌だと分かると、ラミは身体中の血液が沸騰するかと思った。しかしその思考回路はジョージの深いキスにより、妨げられた。後頭部を支える手がラミの顔を上に向かせ、ジョージは上半身を屈める。ラミの舌を捕らえ、深く絡み付ける。薄く瞼を開けると、力強くぎゅっと目をつぶり、そしてジョージのローブを必死に掴んでいるラミ。


ごめん、と謝りながらも、ジョージは幸せそうにキスを送り続けた。

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