クィディッチシーズンの中、たった一日のホグズミード行き。ジョージは勿論ラミと一緒に行く予定だったのだが。避けられてると気付きつつも、図書館の本棚の密閉空間で勉強をしていたラミに近寄った。
「ごめんなさい。セドリックと行くわ。」
まさかの名前が出てきてジョージは絶句した。勿論ラミはセドリックと約束などしていない。しかしアンジェリーナは結局はフレッドと行くだろうし、アリシアもきっと先約がある。勝手に名前を使って申し訳なく思いながらも、ジョージを断るためには仕方ないと言い聞かせた。
「なんで?」
「さ、先に約束したのよ、ごめんなさい。」
「なんで約束なんかしたんだ。」
だんだん語尾が強くなる。早く部屋に戻りたいのに、なかなか帰してくれない。そして何故ジョージが怒っているのかが分からない。怒りたいのはこっちだ。
「別にいいじゃない!ジョージに関係ないわ!」
「ある!ラミの彼氏はセドリックじゃない、俺だ!」
そんなの知っている。だったら同じように、ジョージの彼女はラミなのだが。
「じゃあ…、なんであんな返事したの…」
「返事?」
「聞いたの、ジョージが告白されてるの。考えさせて、って言ってたじゃない。私とあの女の子を比べて、どっちを取るか選ぶんでしょう?」
言ってて、これがただの嫉妬だと気付いた。今まで嫉妬されることは多数あったが、ラミ自身が誰かに嫉妬することはなかった。醜いと思った。こんな自分は振られても当然なほど、醜いのではないか。
「…聞いてたの?」
「たまたまよ。」
「俺はあの子のことを考える余裕もないくらい、俺の頭はラミでいっぱいだよ。」
ジョージは机に手をつき、座っているラミにぐっと顔を近付けた。思わずラミの肩に力が入る。
「それに、あの告白実は間違いなんだよ。あの子、俺とフレッドを間違えててさ。フレッドが振るって分かってても、俺から返事しちゃ駄目だと思ったから、ああ言ったんだよ。」
事の真相を知り、ラミは安堵するが、顔がやけに近い。もしかしたらキスされるかもしれない、と考えると身体中が熱くなった。
「そ、そうだったの。私の勘違いだったみたいね。ごめんなさい。だから離れて。」
するとジョージはにこりと嬉しそうに微笑んだ。至近距離で。
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