クィディッチシーズンに突入し、夕食までの間ラミは一人でいることが多くなった。たまに、リーと一緒にグリフィンドールの練習を見たりしたが、だいたいは図書館に篭っていた。そんなある日だ。練習が終わる時間にアンジェリーナ達と合流しようと図書館から出た。廊下を通り、大理石の階段に差し掛かろうとした。
ラミは運悪く、告白の現場に遭遇してしまった。一瞬で物陰に隠れたから見付かってはいないだろう。安堵の息を漏らした瞬間、ラミの息が止まった。
「好きなの。あの子よりずっと、私の方があなたのこと好きよ。」
女の子がそう言った先には、ジョージがいた。深紅のユニフォームに包まれ、手には箒。あれは確実にジョージだった。女の子の言葉に若干腹を立てながらも、ジョージの返答を待った。無意識のうちに指を絡ませ、神に祈っているようだった。
「ありがとう。」
ジョージは優しい。でもその優しさは恋人であるラミを傷付けることにもなる。
「…少し、考えさせて。」
考える?考えるって何を?
ラミの頭に、自分とあの女の子を比べるジョージの姿が過ぎった。考える余地があるのか、とラミは肩を落とした。自分にはそんな余地はないのに、ジョージにはあるらしい。それが二人の愛の重さの違い。ジョージの返答は確かに、ラミの胸に突き刺さった。
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