魔法薬学の授業で出た課題を早めに終わらすためラミは図書館に向かった。授業初日から図書館は混み合っていて、空いてる席を探すだけで疲れるほどだ。
ラミは窓際の本棚の間の席を見付け、教科書類を机に並べた。
スネイプは初日から課題を出し過ぎだわ。
心中文句を言いながら、羊皮紙に羽ペンを突き立てた。滲んでいく黒いインクを見つめながら、溜め息をついた。
「溜め息なんてついたら幸せが逃げるぜ?」
耳元で囁くような声が聞こえた。くすぐったくて身を捩ると、笑い声も聞こえた。
「何度私の邪魔をすれば気が済むの!」
ここが図書館だということを忘れ、大きな声を出してしまった。当然生徒の視線はラミに集中した。
「図書館では静かにね。」
ニヤニヤ笑うウィーズリー。多分ジョージの方だ。ラミはすぐに視線を教科書に戻した。
「その本を少し貸していただきたいのですが。」
ジョージはラミの教科書の隣に置かれている本を指差した。課題の範囲が詳しく書かれている本である。もちろんラミも使うから本棚から持ってきた訳で。
そもそも私はこの人に怒っていたはずだ。
ラミはジョージをちらりと見た。そして指が差されている本にも視線を向けた。
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