トイレの鏡に自分を写し、そういえば、ジョージは一度も私の容姿を褒めたことはない、とラミは考えた。冗談で、美人が台なしだ、とは言われたが。別に不満な訳ではない。それでも好きだと言ってくれるのは、嬉しい事だ。しかし何となく、引っ掛かる。もしかして魅力がないのだろうか。


心底自分が醜いと思った。今までは嫌悪感しか抱かなかった『綺麗』と言う言葉。それはジョージが言ってくれないと、意味を持たないのだ。他の人に言われるくらいなら、ジョージに言われたい、と。


「あ〜ら、鏡の中の自分に見惚れちゃったのかしら?」


ばっ、と振り向くと、スリザリンの醜い女達がいた。ラミは彼女達を睨み付け、すぐにトイレから出ようとしたた。イライラが募った。なんで鏡を見ただけで、喧嘩を売られなければならない?


「あんたついにウィーズリーと付き合ったんだってね?」
「文句ある?」


女は醜いと思う。どうせこいつらは嫉んでるだけだと、自分に言い聞かせる。しかし本当に嫉んでいるのはラミ自身なのだ。ヘンリー家の血を引き、本来ならば喜ばしいことなのだが、素直に受け止められないこの捻くれた性格。素直で優しい周りの女の子達の方が自分の何百倍も可愛くて、綺麗で輝いていると、ラミは思っている。


でも、こんな私でも受け入れてくれる人たちがいる。


「ジョージが可哀相。」
「あなたにジョージの何が分かるの!」


ラミが声を荒げるのは結構珍しい。しかし昔より確実に、溜め込まなくなった。意思表示をするようになった。とくにジョージや、唯一の友人達のことを言われる時は。

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