昔の親友が好きだったハッフルパフの男だった。ラミは肩に力を入れる。彼女のことを好きだと言っている男達のうちの一人。去年辺りにラブレターを貰ったが、ラミは呆気なく振った。ちなみに話すのはこれが二回目。


「俺、セドリックのルームメートで…。あの…ヘンリー、その、俺やっぱりさ、」


好きなんだ、って言おうとしたのだろう。ラミは彼よりも先に口を開いた。


「セドリック、元気?」
「え?あ、ああ。」


告白を邪魔された。しかも本人に。不穏な空気が流れる。


「私ね、あなたのこと知らないわ。あなたも私のこと知らない。」
「…、」
「あなたが好きになったのはこの顔?瞳?名声?」
「そんなっ」
「ジョージは、違ったわ。」


彼は黙り込んだ。何も言い返せないのだろう。図星だからか。


「あなたが好きなのは、私の容姿であって、私自身じゃないの。」
「…そうなのかな。」


そうだよ、とラミは笑った。今まで見せたことのないような笑顔。彼は目を丸くした。


「はは、そっか。」
「ええ。でも、ありがとう。」


彼も少し照れながら笑った。昔は冷たくあしらわれて終わったのだが、今は笑顔を見せてくれる。彼女の変化がありありと感じられる。そして気付く。彼女を変えたのはジョージ・ウィーズリーなのだと。最後の足掻きだと彼は感じながらも、思ったことを口にした。


「ヘンリーは昔は綺麗だったけど、今は凄く可愛いね。」


ラミが柄にもなく顔を赤くするのを見た。きっとこんな彼女を見れたのも、ジョージ・ウィーズリーのおかげなのだと思い、恋敵であったはずの彼に対し、感謝の気持ちを抱いていた。

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