「なんだか、恋人らしくなったわね。」


朝食後、授業が始まるまでの間談話室でまったりしていると、アリシアが言った。その発言にフレッドが大きく頷く。ちなみにこのテーブルにいるのはアンジェリーナ、アリシア、フレッド、リー。ジョージとリーは朝から追いかけっこ(リーがジョージを怒らせたらしい)をしていて、リーはジョージを撒いて逃げてきたらしい。今だに校舎で捜し回っているだろうジョージを少し心配する。


「それ俺も思うよ!」
「あ、ありがとう…。」


実際ラミには実感が湧かなかった。今まで通り常にジョージといるのだが、恋人らしいことも雰囲気もない。ただ変わったところは、ラミの緊張だ。そんな中での朝のキス。思い出したのか、ラミはテーブルに突っ伏した。しかしリーの言葉に勢いよく顔を上げる。


「ラミ俺にお礼は?」
「は?なんで?」
「進展したのは俺のおかげだぜ?ほら、ネクタイ。」


今朝のリーの行動の意図を知り、ラミは微かに怒りを感じた。隣でアンジェリーナが宥めたが。


「で、ジョージはいつ戻って来るの?」
「さあ?」


ラミは少しむっとしたが、しかしそんな和やかな朝のワンシーンを壊すかのように、彼女に声がかかった。


「ヘンリー、ハッフルパフの男が呼んでる。」
「ハッフルパフ?」
「談話室の外にいる。」


ラミは皆に少し行ってくるね、と言って席を立った。


「大丈夫か、あれ。」
「うーん…ジョージが早く戻って来てくれれば。」


心配そうにラミの後ろ姿を皆が見ていたことは、彼女は知らない。

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