「ラミ?」


ジョージは彼女の様子を伺いながら、ラミの体に回していた腕を解いた。しかしラミは胸元に引っ付いたまま離れない。顔も上げてくれない。何も言ってくれないラミに、ジョージはおろおろと狼狽えた。すると、ラミは勢い良く顔を上げた。手は離さなかったが。


「馬鹿!」


ラミは睨んだつもりだったが、涙目かつ身長差で上目遣いになり、ジョージは顔を赤らめた。そんなことも気にせず、ラミは捲し立てた。


「私言ったわよね?ジョージが大事だって!世界を変えてくれたって。もう…ジョージがいてくれれば他に何もいらないって…」


だんだん声は弱まり、最後に再びジョージの胸に顔を埋めた。しばらく放心状態だったジョージも、自分の胸で泣く彼女を愛しそうに見てから、その頭に腕を回した。ぐっと自分に近寄せ、嬉しそうに囁いた。


「そんなの、初めて聞いたよ。」
「…初めて言ったもの。」


涙声の彼女に胸を擽られ、ジョージの顔はだらし無く緩まっていた。


「ごめんね、ラミ。」
「次こんなことが起きたら、許さないから。」


それでも必死にジョージの胸元にしがみつくラミ。


「ラミの、その変にツンデレなところ、好きだよ。」
「なっ!一度たりともデレた時なんかなかったわ!離して!」


しがみついていた手を離し、ジョージの胸板を思いっきり押したが、彼は笑ったまま抱きしめる力を強めた。


「嫌だ。何処にも行かないで。」


すると暴れていたラミはおとなしくなり、再びジョージの胸に顔を埋め、くぐもった声を出した。


「…それは私の台詞だわ。」


ジョージの耳に届いたのか、満足そうに微笑んだ。

2011.08.04

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