湖までの道を歩きながら、色々考えた。どうして避けるのよ!っていつものように強気な気持ちも溢れた。しかし、本人を前にすると、そんな気持ちはどこかへ行った。久しぶりのジョージ。恋心だけが、そこにはあった。


「ジョージ…」
「こんなとこまで、どうしたんだ?」


ジョージは湖の辺にねっころがっていた。言葉には少し刺があった。やはり自分には何か怒らせてしまう原因があったのだろうか。


「どうして怒ってるの?」
「怒ってない。」


既視感。前にもあった気がする。ああ、あった。あの時誓ったはずなのに。もう、悲しませないように、って。もう、二度とあんなことは、って…。


「ジョージ、私…今凄く悲しいわ。」


頑なに目をそらしていたジョージが顔を上げた。ラミの蒼い瞳にジョージが写る。瞬間、心臓が高鳴る。


「……俺も、悲しい。」


思ってもみなかったことを言われ、ラミは聞き返す。するとジョージは勢いよく立ち上がり、ラミと視線を合わせる。


「ラミ、セドリックと付き合ってるんだろ?」
「え…?」


誤解だと、そう言いたかった。


「聞いたんだ。医務室でセドリックに告白してるの。」


あの時、扉の向こうにはジョージがいた。しかし聞いてはいけない、と思ってすぐに談話室に戻ったのだ。


「ちがっ、」
「もう、俺いらないだろ?」


違う。違う違う違う!違うのに…


ラミは去って行くジョージの背中に向かって叫んだ。


「大切だって言った!ジョージのこと、大切だって…、私そう言ったわよね!?」


振り向いたジョージの瞳は、いつもの温かさなんてなかった。まるで昔のラミのように、凍てついた瞳を、彼女に向けた。


「ラミ変わったよね。」
「ジョージのっ、おかげよ…」
「変わったのはラミだけじゃない。俺も…。」


言葉を濁すと、ジョージはそのまま行ってしまった。

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