さっきよりも大分具合が良い。体を起こし、醒めない頭を少し動かした。するとベッドの横に百味ビーンズが置いてあるのを見付けた。もしかして寝ている間に誰か来てくれたのだろうか。ジョージだろうか。それともアンジェリーナとアリシアか。面白がってフレッドやリーかもしれない。
いつの間にか、人が周りにいることが当たり前になった。誰かがお見舞いの品を持ってきてくれた。その誰かにはたくさんの候補者がいて。誰が持ってきてくれたか分からない、ということがもう、ラミにとっては幸せの一つだった。
その時、医務室の扉をノックする音が響いた。何となくそれはジョージのような気がした。勝手に思い込み、ラミは顔を綻ばせた。しかし、入って来たのはハッフルパフのローブを着た、彼。
「やあ、ラミ。」
「セドリック!」
セドリックは扉を閉め、ラミのベッドの横の椅子に座った。
「ジョージだと思った?」
にっこりする彼に、顔を赤らめた。図星を当てられ、言い淀むラミにセドリックは笑った。
「こ、このお菓子ってセドリックが持ってきてくれたの?」
「ラミのお見舞いは初めてだよ。」
ああ、やっぱりジョージが持ってきてくれたのかな、と少し嬉しくなった。何となく、それは邪心な気がして、振り払うようにセドリックに向き直った。
「来てくれてありがとう、セドリック。」
するとセドリックも、ラミに向かって微笑んだ。
[ 96/148 ]
[←] [→]