ハッカアメを貰った時以来、ジョージはラミと喋ることはなかった。ハンカチを返すタイミングをなくし、二年時のクィディッチにラミが見に来ることもなく、そのままハンカチの存在も忘れ去り、ラミは更に浮いた存在になっていた。次第にラミは誰とも言葉を交わすことなく、噂によると四人部屋から物置部屋へ移ったらしい。


三年に上がり、新たに弟のロンが入学すると同時にチャーリーが卒業、そしてパーシーが監督生に就任した。その日、談話室はお祭り騒ぎだった。いつものように、フレッドとジョージが厨房から持ってきたジュースやお菓子でパーティーを開いていた。ただ一人、ラミの姿はなかったのだが。


フレッドが夏休みの間に悪戯専門店で買い溜めした花火に火をつけた。談話室が更に盛り上がった時だ。階段からラミが下りてきた。ジョージは何となく気まずくて、花火を消したくなった。ラミの姿に気付くと、談話室は沈黙が漂った。何か、何かないかと言葉を探したが、虚しくも花火だけが騒いでいた。


「何?」


冷たい視線。切なさを胸に抱え、ジョージは真っ直ぐラミを見据えた。しかしラミは彼の視線に気付くことはなく、何も言わずに談話室を後にした。


すぐに騒ぎ出す談話室。ジョージの浮かない表情に、フレッドは感づいていた。


その後すぐに監督生になったパーシーが一年生を連れて談話室に入って来た。ジョージはフレッドと一緒にロンをからかった後、リーと共に自室に戻った。


部屋で騒いでいると、突然フレッドは神妙な顔つきになった。各自ベッドに座ったり横になったりして、フレッドの話に耳を傾けた。


「賭けをしないか?」
「なんでまたいきなり?」
「負けたら罰ゲームだ。」


リーの言葉を遮り、フレッドは主にジョージに向かって言った。


「どうせまたトランプだろ?望むところだ。」


結果、ジョージは負け、罰ゲームの指示を受ける。内容は、今中庭にいるであろうラミに話し掛けに行くこと。嵌められた、と悔しく思いながら、少し期待もしていた。こんなチャンスは二度とないだろう、と自分を奮い立たせ、中庭へ向かうのだった。


そして時は現在に戻る。

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