「見たぜ?」


ラミが去った後、上の階段から顔をひょっこり出したフレッドとリー。ジョージは少し自慢げに、手の中のハンカチを掲げた。


「ヘンリーに差し入れもらった!」
「何だとっ!?」


慌てて駆け降りてきた二人の前でハンカチを開くと、中から白いハッカアメが四つ出てきた。もしかして、寮に持って帰るつもりだったのだろうか、あのヘンリーが、と考えるだけで笑いが出た。


「四つ…」
「さすがヘンリー。俺がハッカアメ好きなの知ってんだな。」


当然のようにリーが手を延ばした。咄嗟にジョージはリーの手を払った。


「俺が貰ったんだ、バカ。」
「じゃあ一個もらうぜ?」


珍しくもフレッドは遠慮気味にハンカチからアメを取った。リーもぶつぶつ言いながら一つ取った。ジョージだけ二つ。優越感に浸った後、何となく元気が出た気がして階段拭きを頑張っているジョージが目立っていた。


そのハンカチは今でもジョージの机の奥底に、眠っていた。

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