「見たぜ?」
ラミが去った後、上の階段から顔をひょっこり出したフレッドとリー。ジョージは少し自慢げに、手の中のハンカチを掲げた。
「ヘンリーに差し入れもらった!」
「何だとっ!?」
慌てて駆け降りてきた二人の前でハンカチを開くと、中から白いハッカアメが四つ出てきた。もしかして、寮に持って帰るつもりだったのだろうか、あのヘンリーが、と考えるだけで笑いが出た。
「四つ…」
「さすがヘンリー。俺がハッカアメ好きなの知ってんだな。」
当然のようにリーが手を延ばした。咄嗟にジョージはリーの手を払った。
「俺が貰ったんだ、バカ。」
「じゃあ一個もらうぜ?」
珍しくもフレッドは遠慮気味にハンカチからアメを取った。リーもぶつぶつ言いながら一つ取った。ジョージだけ二つ。優越感に浸った後、何となく元気が出た気がして階段拭きを頑張っているジョージが目立っていた。
そのハンカチは今でもジョージの机の奥底に、眠っていた。[ 93/148 ] [←] [→]