アンジェリーナ達はすぐに話から外れ、女子は相変わらずラミの悪口で盛り上がっている。そんな時、ジョージは寮の階段に人影を発見してしまった。ただそこに立ち尽くしている。


「美人だとちやほやされていいわね、本当。」
「私も、ラミの引立て役にはなりたくない。」
「皆思ってるわよ。あなただけじゃない。元気出して!」


親友の言葉に、打ちのめされていた。ラミは誰も気付かぬうちに、階段を戻った。四人部屋のラミの部屋には、一人の泣く声が響いた。


ラミが去ったのを見て、ジョージはガタンと音を立てて立ち上がった。瞬間、談話室を静寂が襲う。


「……」
「ジョージ?」
「…新しいヌガーを考えよう。そうだな、悪口しか言えない舌をナメクジに変えてやろうか。友達の悪いところしか見ようとしない目をクアッフルくらいに膨らませてみようか。きっと見晴らしが良すぎて良いところも見えるようになるだろう。どうだい、フレッド?」


正直、ジョージがこんなことを言うのは珍しく、フレッドは驚きを見せていた。しかし、女子は冷や汗をかきながら固まっていた。ジョージとフレッドの悪戯は入学してから半年で、大きな信頼を得ていた。双子ならやりかねるぞ、と。女子は慌てて談話室から飛び出して行った。

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