秋が過ぎ、雪の舞う冬がやってきた。ジョージは休み時間の度に中庭に出て、マグルの如く雪合戦をしてみたり、雪だるまを作ってみたり、魔法を使って遊んだりと忙しい充実した毎日を送っていた。その頃はまだ、東寄りのベンチにもラミの姿はなかった。


そんなある日。またいつものように雪だるまを作って遊んでいると、廊下で何やら揉めているようだった。女の子と男の子の声。ジョージとフレッド、リーは面白がって廊下を覗いてみた。


「もう一回言ってみなさいよ!」


ラミがスリザリンの奴に向かって言っていた。背後の女の子を庇うように。その女の子はジョージも見たことがあった。ラミの親友だ。いつも一緒にいる。この様子だと、親友を貶されたラミが怒って言い返している、という感じだ。


「お前は礼儀がなってない。人様に杖を向けるな。エクスペリアームズ!」


瞬間、ラミの杖がジョージ達の方に飛んできた。ジョージは空中でキャッチしたが、しかしラミ達はそれどころではなく、気付いていない。


「格が落ちたな、ヘンリー。そんな『穢れた血』なんかと一緒にいるからそう愚かになるんだ。杖もなくちゃ何も言えないか?」


酷い奴だ。助けに行きたい。フレッドも隣で拳を握っていた。しかし、次の瞬間、ガツンと鈍い音がした。


「御生憎様!私はマグルの喧嘩方法だって知ってるわ。あなたの言う、その『穢れた血』のパンチで伸びたことを覚えておくといいわ!」


床で這いつくばるスリザリンの奴をおいたまま、親友の手を引っ張ってラミは中庭に出てきた。目の前を横切る彼女に、すかさずジョージは声をかけた。


「やあ、ヘンリー。君すごいね。」
「杖が飛んでったわ。あなた知らない?」


するとジョージは持っていたラミの杖を、さっきまで作っていた雪だるまの鼻の部分に刺した。


「どうぞ?」


ラミは一瞬怪訝そうな目をしたが、すぐに杖を引き抜き、校舎に戻って行った。

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