赤也とゲーム
※カレカノ設定
赤也の部屋は汚い。前のラケットとかガットとかボールとかが転がっている。だからあたしたちは赤也のベッドの上で二人で並んでねっころがる。結構狭くてきつい。身体は触れているのに、そういう行為に走らないところがまだ子供だと思う。でも、そんなまったりした空気があたしも好きだから。
「ちょ、見てくださいよ!ヒノアラシ進化だって」
目を輝かせながらゲームの画面を見せてくる。実はめちゃくちゃ近いんだけど、あたしも今はそれどころじゃない。
「あたし四天王と戦ってんだよね〜。邪魔すんな」
「え、まだ四天王やってんの?こないだもやってたじゃん」
「こないだは途中で電池切れちゃったんだよ。」
「充電しながらやれば?」
「充電器ない。」
「貸したげますよ。」
でも充電器は机の下にあって、ベッドからじゃ届かない。うん、べつにいいや。ベッドから出るのもめんどいし、赤也から離れたくない。
「んーいいや。今日は充電してきたし。」
とか言って嘘をつく。だって充電ないとか言ったらきっと赤也が出て行っちゃう。今日は何だろう、ひと時も離れてほしくない。って言っても同じ布団に入ってるだけだけど。でも実はあたしの右腕、べったり赤也の左腕にくっついてるけど。
「赤也、倒せない。」
すると赤也はえ〜、とか言いつつ自分のDSを閉じてあたしのを奪った。あたしもそれを覗き込むから、さっきより距離が近い。たまに部活のない日、一緒にポケメンやる時間は結構多い。
「なんでこのメンツなんスか。こないだ伝説のやつ捕まえてやったじゃん」
「え、ダメ?勝てない?」
「まぁ俺の手に掛かれば昼メシ前っスけど。」
「昼メシか…」
若干ツッコミを入れたんだけど、ゲームに集中してて聞こえてないみたい。あたしはそれをいいことに、赤也の左腕にぎゅーって自分の腕を絡ませた。
「うふ」
「人にやらせといて何スか。」
「んーん。幸せだなぁって」
「……ポケメンやって?」
「違うよ!赤也がいるから〜!」
「…モンスターボールっていいっスよね。」
赤也の頭が狂った。モンスターボール?確かに丸いものってそそられるけどさ。あたしはスーパーボールの方がいいなぁなんて返しちゃうあたしは中二病なんでしょうか。いや、赤也は絶賛中二病ですが、あたしは一応年上なんだけどな。
「じゃあスーパーボール。欲しい。」
「赤也厨二病だぁ〜」
赤也はパタンとDSを閉じ、あたしの方を見た。さっきまでのBGMがなくて、シンと静まり返る。
「え、あれ?どうしたの?」
「先輩をボールに捕まえて、持ち歩きたい。」
言った意味がよく分からないんだけど。でも久しぶりに熱いキスをされた後、赤也がずっと一緒にいたいんスよ、って言うのが聞こえて、あぁ愛されてるんだなぁって幸せを感じた。
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何がしたかったか分からない短編
2012.01.28
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