白石と風呂で攻防戦


※カレカノ設定


右手をケガした。と言っても自転車でこけただけで、骨折とかそういう事態ではない。ただ、お風呂に入るのには一苦労で、片手で髪を洗うなんてのは物凄く疲れる。でも、あたしはこんなことを望んではいないのだ。


「やめっ、ほんと、迷惑!」
「身体洗うの手伝ったるって。人の親切心には素直に甘えとき〜」


心底楽しげにお風呂の曇りガラスのドアをぐいぐい押してくる白石。こいつ、ほんとに変態だ。なにが親切心。身体限定という時点で下心の塊ではないか。あたしは髪を洗うのを一旦中断し、内側からドアを押し返す。こっちは利き手が使えないんだぞ。


「って言うか!なに勝手に家入ってるの!」
「風呂入るん手伝う言うたらオカンが入れてくれたでー。」
「大丈夫!あたしは大丈夫だから心配しないで帰って!」
「せやから俺の親切心無下にせんといてや。」
「それは親切心じゃないの!下心っていうの!」
「あんなぁ、俺らお互いの身体隅々まで見せ合った仲やで?いまさら恥ずかしがってどないすんの。」
「あれは真っ暗だったから……って言わすなボケぇぇ!」


思わずツッコんでしまった。いや、とりあえず、帰ってほしい。左手でドアを押さえるのが辛くなって身体で押さえたいんだけど。ガラスにぼんやり映って白石を調子に乗らせてしまうのが目に見えたからやめた。なんて考えてるうちに白石の力が強まった。ケガ人に容赦ないなぁ、オイ!


「ちょ、やめてって、ほんと!」
「声がえろいで。たまらんわぁ〜」
「白石、きしょい。」
「ほんまにツンデレやな、自分」
「本気で嫌がってるのをツンデレって捉える白石、間違ってるよ。」


限界を感じて、ドアに肩と左腕をつけて押し返した。さっきよりは楽に力が入るけど。やっぱり思った通り。


「ちょ!腕透けとるで!やばい!えろい!」
「白石、はやく帰ってよ。あたし風邪ひいちゃう。」
「ほなら俺が温めてやるわ。さぁはよ開け。」


シャワーを浴びるだけで浴槽に浸かれない訳だ。シャワーだけじゃやっぱり寒い。何とかならないのかと思考を巡らせた。


「あ。」
「なんや!どないした!」
「………」
「…あ。」


鍵閉めた。


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ひどいな
でもお風呂って外側からでも鍵開けられるようになってるから、きっと白石は入ってくるんだろうな←

2012.01.24


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