痛いのはイヤ


※ちょっとえろい



「名前〜。」


真夜中。情事後のベッドの上で廉造がだらけた声を上げた。毛布に包まって隣に寝そべる私は声には出さず顔を上げて反応を示す。


「泣いてくれへん?」
「は?」


時々廉造はおかしなことを言う。どうしていきなりそんなことを言うのか。愚問だ。廉造は志摩家で一、二を争うほど阿呆だから。実際会ったことはないのだが、廉造が“金兄”と呼ぶ兄は随分な阿呆だとか。話を聞く限りでは、廉造より阿呆なのではないかと思うのだが。


「俺名前が泣くとこ見たいん。」
「悲しかったり痛かったりしなきゃ泣ける訳ないでしょ。」


すると、廉造はそれもそうやな、と言って納得したようだ。服を身につけていない私の身体を廉造の手がまさぐった。突然の刺激に身体は敏感に反応を示した。


「ひゃっ!ちょ、廉造!」
「痛いと泣けるやろ?」


廉造の手が、胸の突起に当たった。ぞくりと感じる。盛るな!、と廉造の手を離そうとしたのだが。鋭い痛みが走った。


「痛っ!」


思わず身を縮こまらせる。しかし同じ毛布の中には廉造がいる訳で。廉造は胸の突起を爪で摘んでいるのだ。痛くて顔を歪めた。


「痛いよ、廉造!」
「その顔、ええなあ。」


痛いのと同時に、身体中の血が騒ぎ出すような感じ。痛い。本当に痛い。ぐりぐりと爪を立てているのだろう。私は廉造の腕を掴んだ。


「廉…ぞ、痛…」
「あかんわ。その顔、えらい興奮する。待ち受けにしてええ?」


廉造の発言が冗談だとは分かったが、なんだか悔しい。痛くて仕方ないのに、廉造はニヤニヤするだけでやめてくれない。こいつはドエスだ。でも私はノーマルなのだ。痛いのは好きじゃない。


「や、めて…痛い、」
「えー?しゃあないなあ。」


珍しくあっさり手を離してくれた。アメとムチとはこのことだ。廉造のくせに、生意気。はあ、と息をつくと、廉造は私の頭を撫でながら笑った。その温かさに私の目は自然と閉じられた。


―――


自分の書いたお話が笑えるのは何故

2011.09.10


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