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三人組の不穏な空気を察知した出雲と朴は、休み時間一人でいた子猫丸に近付いた。


「ちょっと!あんた達なんなの!」
「三輪君達どうして喧嘩してるの?」
「どうせあの不良女が理由でしょ。あんな女でいいの!?」


目の前でまくし立てる二人(主に出雲だが)に、子猫丸は目を丸くした。もともと女の子とあまり喋らない子猫丸にとって、この二人は数少ない女友達である。そこで子猫丸は今悩んでいたことを口にした。二人の問い掛けには答えることもなく。


「ちょっと相談があるんやけど…」
「人の話聞いてるのっ!?」
「三輪君が相談?珍しいね!」


一方は怒り、一方は笑顔を見せている。相談の内容を口にすると、散々文句を言っていた出雲も大人しくなった。


「その…、ピアスて、どこに売ってるん?」
「はあ?ピアス?」


そこでピンときたのは朴。


「あ、名前ちゃんにプレゼントするんでしょ?」
「なっ!?そ、そ、そないなこと、あらへッ、あらへんですよ!」


一回噛んだ。なんてわかりやすい子なんだろう、と逆に感心する二人。まだぶつぶつと否定を繰り返す子猫丸。もしかして初恋なのか、と顔が引き攣る出雲。そこで朴が口を開いた。


「この間志摩君と行ったお店に売ってたよ。」
「あ、神木さんの誕生日会の時の…」
「あ、あたしのだけじゃなかったわ。」


赤くした顔を背け、つん、とした態度に二人は小さく笑った。


「うん、そこのショッピングモールはオススメだよ。ただ、男の子一人では行きにくいかな…」
「朴一緒に行ってあげなよ。」
「え?私?」
「ほんまに?助かります〜」


勝手に話を進める二人に、朴は困ったような表情を見せた。


「私はいいけど…、でも好きな子にプレゼントするなら、他の子と一緒に行かない方がいいと思うよ。」


朴の発言に、子猫丸は音を立てて立ち上がった。真っ赤にした顔は珍しい。


「な、何言うてはるんですかっ!す、す、好きて、好きな子て…」


あわあわと真っ赤になって否定になってない言葉を出してくる子猫丸に二人は驚愕。まさか気付いていなかったらしい。出雲は呆れ果てて溜め息をつき、朴はほほえましそうにニコニコしていた。


―――


2011.09.21


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