教室でうなだれている志摩を見付け、名前は机に歩み寄った。心臓がやけに騒ぎ立っていて、しかしこれは気のせいではないのだ。確かに志摩にドキドキし、緊張している。


「…志摩。」


名前を呼ぶと、反射的に起き上がった志摩と目が合った。そこで少し後悔。あんなに勝手なことをした自分を、果たして志摩は許してくれるのか。そんな心配は杞憂だった。


「名前ちゃん!」


少しの間しか、離れていなかったのに、彼が名前を呼んで微笑む姿に胸が熱くなった。志摩は名前に駆け寄った。昼休み、ということもあって、教室の人は疎らで、志摩の声は結構響いた。


「名前ちゃん、構ってええん?」
「………うん、ごめん!」


目の前に来た志摩に、名前は頭を下げた。突然の彼女の行動に、志摩は慌てて声を掛けた。


「頭上げや。顔見えへん。」


顔が見たい、と言う志摩に、名前は頭を上げたくなくなった。しかし、恐る恐る顔を上げると、志摩の満面の笑みがあった。うっ、とのけ反る。どれだけ嬉しいの、と顔が思わず引き攣った。


「久しぶりやな!」
「うん…」


確かに毎日一緒にいた訳であるから、こんなに距離があったのは初めてのことだ。改めて、申し訳なくなった。


「また、一緒にいてくれる?」
「そらこっちの台詞やろ?」


勝手に距離を取ったのに、志摩は笑って許してくれた。名前は泣きそうになるのを我慢し、顔中に力を入れた。すると志摩は再び笑いながら、名前の頬を引っ張った。


「俺から離れんといてや。名前ちゃんおらんと、俺寂しゅうて生きてけへん。」


それは言い過ぎなんじゃ、と思ったが、志摩の言葉は率直に嬉しい。重いとも思ったが、名前には彼の想いを受け止めることができた。


「…うん。」
「俺と付き合ってくれへん?」
「……うん!」


ごめん、と謝った。誰に対してか、なんてそんなのは愚問だが。大好きな志摩の腕の中で、名前は涙を流していた。


二人は確かに両想いだった。そして、今も互いを想い合っている。


―――


完結
中途半端すぎる
いつもいつも不完全燃焼すみません
やっと青エク7巻読みました!
柔造さんイケメンすぎる

2011.09.05


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