言わなきゃ、と決意を固めた。


「名前、購買行こ?」
「…うん。」


購買でパンを買ってから、名前は友人と一緒に中庭に向かった。食堂はほぼ満席で、待つのが面倒だったということもある。しかし二人で話すには、中庭がベストだった。


「……あの、」
「名前さ、私に話したいことあるんでしょ?聞いてあげるから、早く言いなよ。」


彼女は芝生に腰を下ろし、パンの袋を開けた。いつもの調子の親友に、名前は冷や汗を感じた。もしかして、ばれているのかもしれない。


「あ…うん。……」
「はあ。私は言ったんだけど?名前は言わないの?」


そこで確信に変わる。名前が志摩に想いを寄せていることに、彼女は気付いていた。ならば最後は潔く、と名前は一つ深呼吸をした。


「私もね、志摩のこと、好きなの。」
「……」
「嘘ついてごめんね。」
「本当よ、馬鹿。」


彼女は怒鳴り散らすこともなく、至って冷静だった。もしかしたら、このまま友情が終わってしまうかもしれない、と名前は不安を覚えた。


「私も、ごめん。名前が言ってくれなかったから、ちょっと意地悪しちゃった。」
「…、」
「でも私は振られちゃった。だから名前が応援してくれたように、今度は私も応援してあげるから。」


パンを頬張りながら、彼女は微笑んだ。そして何故かそれが名前の涙腺を緩めた。


「ちょ、なんで泣くのよ!」
「だって、だって、友達やめられちゃうかも、って…」
「んー、まあ、私もう志摩くんのこと諦めるからさ、完全に冷めるまで待っててよ。そしたらまた友達として、相談ものるし惚気も聞いてあげるから。」


そう言って彼女は、名前の手に握られたパンを彼女の口に突っ込んだ。慌てる名前を見て、彼女は吹っ切れたように笑っていた。


―――


親友の名前変換作るべきだった
いつのまに告白したんだろ…

2011.09.04


[ 27/63 ]

[] []