まなみと 隣同士


「ねえ、俺こういうの初めてなんだけど」
「大丈夫大丈夫、簡単だから」
「みんなあの中で写真撮るの?」
「写真じゃないよ、プリクラ」
「ぷりくら」
「なんかまなみが言うとおもしろいね」

昨日久しぶりにプリクラ帳を開いたらなんだか懐かしくなって、学校帰りにまなみと撮りにきてみた。しばらく撮ってなかったからいろんな機種があって浦島太郎気分だったけど、まなみは完全に未知との遭遇状態だ。キョロキョロと珍しそうに目を動かしている。

「あ、ねえあれにしようよ」
「キラキラお花畑でお姫様?」
「うん、かわいいんだよ」
「いいけど…」
「行こう行こう!」











「失礼しまーす」
「プリクラ機入る時挨拶する人初めて見た」
「部活とかの癖かなあ」
「まなみって意外に礼儀正しいとこあるよね」
「意外にって」
「あ、ねえまなみ背景!どれがいい?」
「えー、どれもすっごいキラキラなんだけど」
「キラキラお花畑でお姫様だもん」
「うー、じゃあ一番ふつうのやつ」
「了解…っと」
「ねえ、俺どうしてればいいの?」
「好きなポーズしてて、もうすぐ設定終わるから」
「ピースとか?」
「じゃあ2人でピースしよ!よし!」

【設定が完了しました】

「まなみ、ピースだよピース!」
「うん!」
「なんかワクワクしてきた」
「俺も」

【3、2、1!】

「まぶしっ」
「まなみボーッとしないで!次だよ次!」
「え?」
「これ違うの三枚撮れるから次!」
「ええっじゃあこれ!」
「えっ何そのポーズ」
「東堂さん!」
「何そ【3、2、1!】

「あ」
「あ」
「あーしまった…」
「チサちゃん、これもう一枚あるんじゃないの?」
「あっそうだった、えーと、ハート!」
「ハート?」
「わたし左手でハート半分つくるからまなみ右手!」
「なに?どうやるの?」
「だからこう【最後だよ!いくよ〜3、2、1!】

「え?」
「え?」
「俺チサちゃん見てた」
「うっそ…わたし一人でハートつくっちゃってる…」

【落書きタイムは1分だよ!】

「えっ待ってまなみ、それ何?」
「東堂さんの口癖」
「文字潰れちゃってよくわかんないんだけど、私には呪いの言葉に見える」
「スリーピングビューティー!だよ」
「いや、私側に書いてある、そのもじゃもじゃ」
「登れる上にトークも切れる!だよ」
「字数多いよ!」
「そんなこと言ったらチサちゃんだって最後のやつに変なキャラ描いてる」
「変じゃないよ、くまだよ」
「うっそだあ」
「いちばんよくわかんないことになってるからせめて可愛くしようと」
「さらにわけわかんないよ」
「そうかなあ?じゃあスタンプに【残り時間が少ないよ!】

「えっもう?」
「チサちゃん、最初のピースのやつなんにもかいてない、」
「待って待って、どうしよ待って」
「チサちゃんペンかして!」
「ま、まなみに任せた!」

【落書き時間が終了したよ!シールは外の取り出し口から受け取ってね!】

「なんか、すごいね」
「わたしこんな残念なプリクラ久しぶりに撮った…」
「でもおもしろいから俺明日の部活で見せよっと」
「待って待って!やめて!ほんとだめ!」
「え〜おもしろいのに」
「一枚目以外は封印してほしい」
「俺が最後書いたやつ!」
「うん、仲良し!のやつ」
「仲良し!」
「なんか嬉しいなあ」
「ほんと?」
「うん!嬉しい!」
「じゃあこれ部室のロッカーにはろっと」
「それは恥ずかしいからだめ!」







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